丹地陽子 個展『めがね』


丹地陽子さんの個展『 めがね 』に行ってきました。


丹地さんは小説の装画を主に描かれているイラストレーターです。

私が丹地さんの絵と出会ったのは、かれこれ12、3年前になります。

母の日に贈る花をネットで探していた時に、たまたま見た花屋さんのWEBサイトのイラストに目が釘付けに。

その絵を描いたのが丹地さんだと知ったのは、そこに名前が書かれていたのか、執念で自力で調べたのか既に覚えていませんが、「この人の他の絵も見たい!」と思っていろいろ検索したのは覚えています。

繊細な線、ピンと張り詰めたような空気、絵の中に織り込まれた時間の流れ、圧倒的なセンスで描かれる世界。

人物も背景もその物語の世界観も描ける、人物も老若男女描き分けられる方です。見れば見るほどにすべて私好みで、「あー、こんな風に私も自分の世界を絵にしてみたい」と思いました。

それ以来、ずっと憧れの存在です。


今回は「めがね」がテーマの作品。

めがねをかけた人物ばかり72点、すべてアナログ作品です。

デジタルで下描きした絵を、鉛筆等で紙に描きおこして制作されたようですが、全作品素敵でした。

線の美しさ、余白に感じる空気、物語が透けて見えるような構図。

シンプルだからこそ感じるその圧倒的なセンスを目の当たりにして、なぜか敗北感にも似たような感情を感じました。

当然のことですが、憧れても絶対に私には見ることのできないこれが丹地さんの世界なのだな、とうれしさと切なさとが入り混じった何ともいえない気持ちになりました。


↓ 今回の個展にあわせて、ギャラリーの柱にご本人が描いた絵。(これは撮影OKでした)


今回の展示は72点すべて手描きの原画。全作品販売するとのことでした。

普段はすべてデジタルで絵を描かれるので、手描きの原画を見ることも手に入れることも今後あるかないかわからないけれど「どうしても見たい!原画が欲しい!」と思いました。

初日ではなかったので、既に売約済の印がたくさんついていました。

私が丹地さんの絵で好きな点を考えて、あらかじめ購入のポイントを決めて行ったのですが、「男性がかっこよくて好きなので男性であること(猫も描かれているとなお良い)、描き方が好きな服のしわが描かれているもの、更にはブルー系のカラー」。

一番に「これ欲しい!」と思った作品は既に売約済だったので、他の作品2点で迷いに迷った末に上記ポイントをすべて満たした(猫は描かれてなかったけど)作品を購入しました。

会期終了後に郵送で届きます。毎日、丹地さんの作品を見れると思うと、もううれしくてたまりません。ちゃんと額装しなければ・・・。


↓ ギャラリー入口にも1点額装された作品が展示されてます。(こちらも撮影OKでした)


連日、丹地さんが在廊していてお話しできたなどの情報を目にしていたので、お会いできればと期待していましたが、残念ながらその日は来られない日でした。いろいろ聞いてみたかった!

でも、ギャラリーの方もとても親切にしてくださって、本当に行ってよかったと心満たされて帰ってきました。

個展は西荻窪のウレシカさんで5/6までです。(4/30、5/1はお休み)


↓ 今回の展示作品ではありませんが、表紙も含めて31人のめがねをかけた人の絵をまとめたブックレット。少年から老人まで全部男性の絵です。直筆サイン&イラスト入り。


実は、今回この個展に行くまでに数日間ものすごい悩み葛藤しました。

私の心は「行きたい!原画が欲しい!」そう思っても、思考はそうはいきません。

開催地は東京、「大阪から東京まで新幹線?お金かかるよー。」

しかもGW真っただ中、「せっかく東京行くのに一泊くらいしたいよねー。今から新幹線も宿も取れるのかな?」

作品は間違いなくそれなりの価格だろう、「ホントに買うの?きっと高いよ。行ったはいいけど、思ったより高くて買えなかったらどうするの?きっとがっかりして帰ってくることになるんじゃない?」 と、こんな具合でした。


しかし!落ち着いて考えるスキルを身につけた(?)今の私にこんなネガティブな言葉の数々通用しません! (^^;

「とりあえず新幹線のチケットとってみよう。混んでるだろうけど自由席もあるし。」

「もう日帰りでいいでしょ。第一の目的果たしたら、時間あったら行きたいくらいの用事は作っておこう。」

「初日じゃないからかなり売れていると思うけど、予算大まかに決めてなるべく買う気で行く。」 

「私は何のために毎日働いてたんだよ。生活のためだけじゃないでしょ?心を満たすためにお金使わなくていつ使うんだ!」 そういう具合に1つずつクリアしてようやく行けました(^^;


品川に着いてそのまま個展開催地の西荻窪へ。

見終わった後の満たされた気持ちが凄かったので「この後の用事どうでもいいな」と思って、品川でざるそば食べてそのまま帰ってくることにしました。東京滞在時間4時間弱・・・。

帰りは夕方の便にしてたので、新幹線の時間変更しようとしたけどGWおそるべし・・・。指定席は全便満席、自由席にしたら名古屋までの1時間40分、混み合った通路の連結部で立ちっぱ。連結部の不規則な振動が老体に堪えるw少しは筋肉つけないと・・・と思った(^^;

新幹線乗る前に、大好きなヤマシタトモコさんの新刊『違国日記④』買ってたので、連結部で小刻みに揺れながら無心で読破できたので、それはそれでよかった(^^) 


↓ ポストカードいっぱい買いました。かっこいいめがね拭き買わなかったのだけが心残り!なぜ買わなかったのか・・・。

↓ 丹地さんが特集された雑誌「illustration」2018年3月号も買いました。制作に関するいろいろなことが知れて、あっという間に読んでしまった。(帰りの新幹線、やっと座れた名古屋―新大阪間で読破w)

facomi to usachan

Tomoko Terahara / NANANOKO_pianeta Illustration