【01:ドラマ編】ただ言いたいだけ


人におすすめしたいわけではないけど、「これ、よかったんです」って言いたい。誰に向かってかわからないけど、ただ誰かに言いたい・・・。

そういうことってありませんか?


私は、説明下手のせいで基本的に人と感覚を共有するのが苦手です。

特に崇拝レベルで好きなものは人とは共有せず、自分の中だけで崇めるのが基本的なスタンスです。


でも、自分がよかったと思ったものを、たまたま相手におすすめされたときの「知ってる!いいよね、いいよね!」という高揚感が結構好きだったりもします。

また、勇気を出しておすすめした結果「めちゃくちゃよかったわー。」という感想を聞くと、うれしいのと相手の優しさとにダブルで感激する。


そんな「ただ言いたいだけ」のことを、とりあえずカテゴリーごとに適当に書いていこうと思います。


初回はドラマ編で。

ここしばらく、性格が冷め切って何観ても「スンッ」となってしまい、ドラマを観ることができずにいましたが、最近また観始めたらおもしろくて・・・。


◆ドラマ編


① 重版出来! (2016年 日本)

当時リアタイで観ていて、その時から大好きでした。改めて観てもやっぱり最高です。良過ぎて2周してしまった・・・。これまで観たドラマで一番好きかも知れない。


女子柔道のオリンピック強化選手だった主人公が、怪我で選手生命を絶たれ出版社へ就職。漫画編集者として人生を再スタートし、前向きに切磋琢磨しながら作家と共に成長していくストーリーです。


原作は漫画で全20巻。原作もめちゃくちゃ好きです!

完結する前の実写化でしたが、かなりきれいにまとまってます。


このドラマの何が素晴らしいかというと、キャラの再現率が半端ないところ。漫画からそのまま抜け出てきたような完璧さです。これは、本当に原作への誠意をひしひしと感じます。

(昨今の漫画原作の実写化、正直うんざりして観る気がしないのが多いです。せめて外見もう少し再現できなかったの?キャラ変わってますよね?といった感じのが多過ぎる・・・。原作を借りるんだからがっかりさせんな、もっと誠意見せろやこらー!って叫びたくなる・・・。以上、愚痴です。)


さらにすごいのが、劇中で作家が描いているとされる原稿も有名作家が手掛けており、映るたびに「うぉー」って興奮してしまいます。


原作では奇才・中田伯が一番好きなキャラクターです。

このドラマの中では大御所漫画家・御蔵山のアシスタント・沼田さんと中田伯とのお話が一番好きです。何度見ても共感し過ぎて泣いてしまう。

沼田さんを絶望の淵へ突き落としたのも、希望となり救ってくれたのもまた中田伯だったのですよね。沼田さんが最後に中田伯と別れるシーン、背を向けて新たな道へと歩き出すその表情がたまらなくて、胸が熱くなります。


作品を生み出し続ける作家の苦しみと、それを必死で支え伴奏する編集者たちの人生に、私は心が震えてしまいました。書いてたら、また観たくなってきた・・・。


① 0.5の男 (2023年 日本)

実家引きこもり40歳男性が、実家の建て替えを巡って起こる様々な変化の中で、家族ともども成長していく素敵なお話です。


松田龍平さんが大好きなのですが、この松田さん演じる雅治がドストライクに大好きなタイプの男性でした。

「冴えない、頼りない、ダサい」この三拍子が揃っていながら、実は「めちゃくちゃ優しくて思いやりがある、実はスタイルがいい、雰囲気がある」この三つを併せ持っている・・・。最高過ぎる。

私はいわゆる「おしゃれ」とか「自分で自分を結構イケてる」とか思っている男性がとても苦手なので、真逆を行くこの雅治というキャラクターが格好よくて大好きです。

こういう人はずっと一見ダサいままでいて欲しいし、自分の格好よさに気付かずにそのままでいて欲しいです。


このドラマは、雅治の姪・甥役の子役の演技も素晴らしかった。

ときには胸がぎゅっと締め付けられるシーンもありますが、もがいて誰かの手を掴んだり誰かに手を差し伸べたり・・・。互いにそうして少しずつどこかに進みながら日々を生きていく姿を見ていると、心がじわーっと温かくなります。


③ 賢い医師生活 (2020年 韓国)

2シーズンで完結の、タイトル通り医師たちの話です。

大学で同期だった40歳の5人の医師。今は皆それなりの地位に就いて充実した日々を送っていますが、紆余曲折さまざまな思いを抱え、困難に立ち向かいながら生きる様が本当に尊くて素敵です。


医療ものってちょっとしんどいかな?と観る前は思ったけど本当に良くて、5人それぞれのキャラクターが愛おし過ぎて、そんな5人のやりとりをずっと観ていたい・・・。観ていられる。

その他、脇を固めるキャラクターたちも魅力的です。特に、産婦人科の医師・ミナがかわいくて大好きでした。


学生時代から5人でバンドを組んでいるという設定なので、ほぼ毎回演奏シーンが入るのですが、紅一点のソンファの音痴設定が余計だったような・・・。


④マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~ (2018年 韓国)

建設会社の部長(45歳)と派遣社員(21歳)が、人生の不条理さと苦しさに耐えながらも、共感し互いを救済していく話です。


このドラマ、とにかく暗いし長いしずっとツラいことしかないし、このまま終わったらどうしよう・・・って心配になったけど、最後の最後に「あぁ、本当に観てよかったー」と思えるくらいの幸福感に包まれました。この瞬間のためだけにここまで観てきてよかったと本気で思える、素晴らしいドラマだった。


家族のような、同志のような、戦友のような・・・離れていても互いの幸せをただ願い合う、その関係性に名前をつけることはできないけど、愛であることに違いはなし。名作です。


そして、派遣社員・ジアン役のIUさんの演技が素晴らしかった。ずっと死んだ魚のような暗い目をしているんだけど、少しずつ目に生気が宿ってきて、本当に少しずつ表情が変わっていく様子がすごかった。

おじさん役のイ・ソンギュンさんは2023年に48歳という若さで亡くなられています。優しい低音の美声が素敵だった。



⑤エミリー、パリへ行く (2020年 アメリカ)

シカゴのマーケティング会社で働くエミリーが、子会社となったパリの老舗マーケティング会社に出向することになるところから始まる、現在シーズン4まで公開されているドラマです。


発想と機転と愛嬌で、周りを巻き込んで恋に仕事にととにかくドタバタする感じのコメディ。エミリーの貞操観念が「・・・」となりますが、かなり気楽に観れるし楽しいです。

見どころは、エミリーのキャラクターと奇抜なファッション、あとは上司のシルヴィーとのやりとり(やり合いともいう)かな?脇を彩るキャラクターも個性強めです。


普段、海外ドラマは字幕で観る派ですが、これは日本語吹き替え版で観ました。

とにかく気楽に飽きずに観れるので、あっという間に見終わります。



以上、最近観てよかったドラマ5作品でした。

facomi to usachan

Tomoko Terahara / NANANOKO_pianeta Illustration