【その4】まんがの備忘録
今回は料理がテーマの2作品をご紹介します。
■Artiste
さもえど太郎さんの『Artiste』(アルティスト)。
現在、『月刊コミックバンチ』で連載中・単行本は4巻まで発売中です。
Artiste(アルティスト)はフランス語で芸術家。
舞台はフランス、主人公のジルベール・ブランシャールは、特異な味覚と嗅覚を持つ一流の料理人。 だけど、心が弱くそれ以外は何をやってもダメな冴えない男。
一流の腕を持っていながら、パリの高級レストランで下働きをしていたジルベールは、心の弱さから立ち止まったまま前に進めないでいたが、新人として入ってきた同じく下働きのマルコとの出会いが、徐々にジルベールの環境を変えていくきっかけになる。
事故で厨房に立つことができなくなってしまった有名シェフ、メグレーに腕を買われたジルベールは、彼の店でメグレーの味を完璧に再現する副料理長として働き始め、メグレーが各店から引き抜いてきたクセの強い部下たちと衝突しながらも、互いを信頼し理解し合うことをおぼえ、手探りで新たな道を歩み始めます。
同時に芸術家だけが入居できるアパルトマンに引っ越したジルベールは、そこでもクセの強すぎる入居者たちにふりまわされ・・・。
人は出会っても、関わろうとしなければ影響を与え合うことはないけれど、ひとたび関われば、喜びも悲しみも分かち合うことができる。
芸術家とは孤独な過程を経て0を1に変える人たち。
ただ、そこに必ず必要なのはひと匙の喜びや愛というエッセンスだと思う。
創り出したものへの愛、それを目にする・手にする・口にする人たちへの愛。
料理も絵画もデザインもいろんな創造されるもの、すべてが創り出す人の経験や気持ち、その人の全部の中から掬い出した一部からできていると思う。
自己開示という意味では、個人的には抵抗のある言い方ですが、誰しもが芸術家なのだと思う。
実は、「アーティスト」や「クリエイター」という言い方がなんだか苦手です・・・(^^;
同じ意味だけど日本語の「芸術家」または「職人」(これだと少し工芸に寄るのでしょうか?)が個人的にはしっくりきます。
さもえど太郎さんはずっと同人誌で描かれていた方で、今作がデビュー作だそうです。
とてもいいです!
自分には何があって、何がないのか。相手には何があって、何がないのか。
補い合い認め合い、切磋琢磨することで心が成長していく。
読んでいて、時に胸にチクッと突き刺さり、心に熱く響いてくるシーンがありました。
パリを舞台に描かれる芸術家たちの物語。
まだまだこれから物語は展開されていくようですが、楽しみでなりません。
■きのう何食べた?
よしながふみさんの『きのう何食べた?』。
現在、『モーニング』で連載中・単行本は14巻まで発売中です。
主人公・筧史朗(弁護士)と矢吹賢二(美容師)の「食生活」をめぐる物語。
こちらは料理漫画ですが、ひと味違ってゲイのカップルが主人公の漫画です(^^;
ただ淡々と、主人公2人の料理&食事シーンと取り巻く人たちとの交流を描いた、本当にものすっごい淡々とした漫画なので、好みは分かれるかと思います。
私は淡々とした日常の中にある物語が好きなので面白かったです(^^)
料理シーンで調理法など詳しく紹介してくれていて、まるでレシピ本です!
(数々のメニューを台所で見れるようなレシピ本にして販売してほしい)
ゲイのカップルという社会的少数派であるマイノリティーな存在が主人公ですが、そういった人たちが抱える悩みや、心の在り方に意外にも共感する部分もあったりして、読んでいて面白かった。
私は異性と結婚していますが子供はいません。
そうすると社会的なという角度ではなく、状況的にだけ捉えると主人公たちと似たような生活をしているなぁ、と思うと若干将来的に抱えていくであろう問題とか似てたりして・・・。
私は男と女という2種類の人間が存在することは紛れもない事実として認識していますが、同性カップルに関して特にあれこれと思うところはありません。
私の恋愛対象は異性ですが、当人同士がいいのなら他人が口出すことでもないしなぁ、という考えです。
同性カップルが直面する社会的な弊害はたくさんあるのだと思いますが、主人公の史朗と賢二はなんとか10数年前向きに連れ添っており、1巻では40代前半でしたが14巻では50代になってます。
重めの話題も出てきますが、登場するキャラクターが明るい人が多いので、そんな雰囲気はなく軽く淡々としています。
中年太りしたくない史朗の作る料理は健康的な家庭料理ばかりです。(賢二には「舌がおじいちゃん」と言われてます)
ということで、私も最近和食作りに挑戦し始めたので、一品作ってみました(^^)
物語の中で、史朗の勤務する弁護士事務所の事務員、老けているけど実は20代の志乃さんが作るニンジンのサラダ?のようなもの。
レンタルで借りてすでに返してしまったので、料理名わからず(^^;
材料はニンジン・玉ねぎ・にんにく・ツナ缶・酢・粒マスタード・黒胡椒。
シリコンスチーマーでレンジで加熱するだけなので、簡単です!ツナ缶がノンオイルのしかなかったのと、若干クセの強い酢を使ったせいで、まだまだ改良の余地あり・・・。
見た目もイマイチですけど…。
私が作ると随分と切り方が荒いですが、ニンジンは本来は細切りで、玉ねぎは細かいみじん切りです!w
そして、多分ツナ缶はオイル入っている方がおいしいと思います。もしくは、ノンオイルのツナ缶でオリーブオイル足すのもいいかも。あとは、セロリとか入れてもおいしそうかなー、と思いました。
※今回のイラストは『Artiste』の主人公・ジルベールです。難しかったけれど、描いていてとても楽しかったです(^^)
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