北林みなみ 個展『小箱のはなし / THERE IS A SMALL BOX IN YOUR HANDS』
北林みなみさんの個展『小箱のはなし / THERE IS A SMALL BOX IN YOUR HANDS』に行ってきました。
鮮やかで広大な森と対照的に描かれる小さな人物。
絵と同様に、すっと心にやさしく響く北林さんの綴る文章がとても好きです。
作品を知ったのはSNSで、最初に興味を持ったのはその文章でした。
自分にとっての正しさや美しさについて綴られた、とても素敵な言葉。(詳しくはご本人のSNSで探してみてください。)
過去、私は最後にたった一つ残される自分自身さえも失いかけて、自分の無力さとちっぽけさにただ途方に暮れ、何年もかかって立ち上がった経験があるので、この次また同じような状況になった時、何事もなかったように立ち上がり歩いて行けると自分を信じています。
そんな私に、北林さんのその言葉は、寄り添いそっと励ましてくれるようで心に響いてきました。
そして、今回の個展のテーマである「小箱」。
私も自分の中に小箱を持っています。
小さな信念のようなものや、何でもない記憶のかけら、他人から見たらどうってことのないようなものもしまっておける。箱の中身は形や色や大きさが変化したり、増えたり減ったりしていくけれど、その小箱を持ってさえいれば、自分は何があっても生きていけると思える。
北林さんの絵を見ていると、様々な言葉が心に湧き上がってきます。
ただ、それを文章にするのは難しくて、どうしても途切れた言葉の連なりでしか、私には表現できません。詩のような散文になってしまって、少し気恥しいですが、書き留めておきたいと思います。
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自分と世界とを隔てるもの、見えない境界線があきらかにそこにある。
境界線は波のように遠くなり近くなる。
境界線の外にあるものは自分の影を映す鏡、そして自分の輪郭を露(あらわ)にするもの。
外の景色はどこまでも果てしなく続く。景色は延々と移り変わる。
自分という小さく無力な存在、ただ小さく無力であっても何もできないわけではない。
箱庭から外の景色を見る、見えている場所と見えていない場所。
境界線を行ったり来たり、途方もない旅は続く。
途方もない旅でも、記憶と経験とが、まだ見えない美しく鬱蒼としたこの景色のどこかに、仲間がいると信じさせる。
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