【その4】少女漫画がおもしろい!
雲田はるこさんの『昭和元禄落語心中』(全10巻完結)。
読み終えた後、何度も何度も溜息が漏れるほどに、大好きな漫画です。
この方、絵もストーリーも見せ方もすごくうまい!
落語シーンも表情がいきいきと描かれ、コマ割や描き方も工夫されており、
落語をよく知らない私でも引き込まれました。
昭和の落語界を舞台に描かれる、嫉妬と羨望、くるおしい程の愛と憎しみ。
落語を愛した者たちが背負う、業と情と光と影。
と書くと、なんだかジメっとした辛気くさい話?と誤解されそうですが、
主人公・与太郎のキャラのおかげか、全体の雰囲気はテンポよく、
カラッとして重い印象はありません。
雲田さんの漫画は2作品しか読んでませんが、
両作品に共通してコメディタッチというか、重々しい雰囲気はありません。
このバランスもまた絶妙なのです(^_^)
孤高の天才落語家と称される昭和最後の大名人・八代目有楽亭八雲の影を背負った人生が、
与太郎という光と共に再びまわりだす。
陰気な雰囲気の八雲とは対照的に、元チンピラで刑務所から出所したその足で、
八雲に弟子入り志願した底抜けに明るい与太郎はまさに落語界の光。
八雲と与太郎の出会いを描いた『与太郎放浪篇』。
兄弟子である夭折した天才落語家・二代目助六と八雲の若き日を描く『八雲と助六篇』。
時が経ち、与太郎が真打・三代目助六となった『助六再び篇』。
苦悩に満ちた人生も、去っていった人たちも、すべてがあまりにもいとおしい。
弟子は一切とらない、助六が愛した落語は自分が死ぬとき道連れに・・・。
八雲師匠(菊比古)、かなりクセのあるひねくれた人物ですが、人としての色気がすごい。
幼少期から青年期、そして年老いて人生を終えるまで、とにかく、
おじいちゃんになってもずっと色気たっぷりです。
この八雲というキャラクター、
これまで読んだ漫画の中で一番好きなキャラクターかもしれません。
私は、年老いた八雲が『反魂香』という演目を終えた直後に倒れ、
生死を彷徨ったのち、病室で目覚めたときの一言・・・、
「未練だね、まだ生きてらぁ。」
という台詞にめちゃくちゃシビれました(>_<)
登場するキャラクターは誰も魅力的で個性派ぞろい。
想像を掻き立てられながらも、後味のスッキリしたラストまで、
何の不満も残らない、本当に素晴らしい作品でした。
おすすめです。
アニメ化もされているので、近々観ようと思います!
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