【その2】少女漫画がおもしろい!
やまもり三香さんの『椿町ロンリープラネット』。
なんというか、
小説の行間ような「間」がこの漫画にはあるな・・・と感じました。
父子家庭で育った女子高生・大野ふみが、父親が連帯保証人で作った借金のせいで家を失い、
時代小説家・木曳野暁(きびきの あかつき)の家に住み込みの家政婦として居候することになる、
というところから物語は始まります。
幼い頃から人との心の距離感がつかめず、
相手を傷つけ、自分も傷つき、人と深く関わることをあきらめた暁。
人を頼れず、さみしさもツラさも自分の心の中に押し込めて何事も人一倍一生懸命なふみは、
無愛想な暁の、本当は誰よりも愛情深く優しい部分に少しずつ触れ、
これまで自分の心の中に押し込めてきた感情をなかったことにはできない程に、
暁の存在がふみの心を揺さぶります。
暁もまた、ふみと関わっていく中で、これまで感じることのなかった感情に動揺し、
不器用ながらも一生懸命ふみとの関係を築こうとします。
脆く微妙な距離感で繋がる二人の関係が、あたたかくも切ないラブストーリーです。
私は、暁が自分の感情に寄り添うように、
自分の中に湧き上がった名前も知らないこの気持ちが何なのか、
過去を回想しながら悩む姿がとても好きです。
私自身、暁と同じように人との心の距離感がうまくつかめず、
悩むことがこれまで多かったので、共感する部分がありました。
また、小説の行間のような「間」が、
暁に漂う心の虚しさのようなものや、おぼろげに灯る灯りのようなものを、
うまく表現しているように感じました。
「もしも、あの時お父さんが保証人にならなかったら、
もし、あの時○○でなかったら…、きっと先生と出会うこともなかった」
と、ふみが思うシーンが好きです。
そう、私たちの今は、いろんな偶然と必然が重なってできたもの。
そう考えると、今という瞬間も、今身近にいる大切な人たちのことも、
とても貴重で愛おしいものなんだなぁ、と思えますよね(^_^)
この漫画、何が好きって絵が好きです!
かわいい。
そして、暁がめちゃくちゃかっこいい。
ここ重要です!
現実には絶対いないけど、いたら絶対好きになる自信あるなぁ…(^^;
連載中で、現在10巻まで発売中です。
やまもり三香さんの前作、実写映画化された『ひるなかの流星』よりも、
私はこちらの『椿町ロンリープラネット』の方が断然オススメです(^^)
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