【本】『嫌われる勇気』


『嫌われる勇気』は2013年12月に出版されベストセラーとなった本で、

私の生き方を大きく変えるきっかけとなった本です。

『幸せになる勇気』はその続編で、2016年2月に出版されています。


私は2014年に、本屋さんでたまたまこの本と出会いました。

そんな、たまたま出会った一冊の本が、

まさか自分のその後の生き方を大きく変えるきっかけになるとは驚きです。


2014年の私といえば、もう思い出すのも切ないのですが・・・。

これまでの人生の中で一番どん底に突き落とされていた時期です。

「自分自身を喪失していた」という表現がぴったり(--;

いつも心ここに在らずで、毎日泣いて死んだように生きていました。

本当に思い出すと、ズタボロでかわいそう過ぎて「あんた、この先ちゃんと元気に

なってるから大丈夫よ~!」と声をかけてあげたいくらい(^^;



「全ての悩みの根源は”人間関係によるもの”である」


この本は精神科医・心理学者であるアルフレッド・アドラーが説いた「個人心理学」

(のちに後継者たちによって発展し「アドラー心理学」と言われるようになります)を

哲学者と青年の対話形式で解説したものです。

人間の行動の動機となる感情(劣等感や優越感など)は他者との比較から生まれ、

他者が存在しなければあらゆる悩みは消えてなくなる、と断言されています。

また逆に、他者が存在するからこそ喜びや楽しみが生まれることも事実です。


初めて読んだときは衝撃で、「えーっ!なんだこれ?」って感じでした(^^;

でも、自分をひたすらに責め続けていた私にとって、

このアリ地獄のような現実から抜け出すことができるんだ・・・、

とやっと地に足が着いたような感覚になりました。

アドラー心理学は心理学というよりは哲学や思想に近いと思うのですが、

私が私らしく生きられる道標になるような大切なことを、

たくさん知らせてくれたと思います。


読み終えたとき、ただ一言・・・「私、甘ったれてるだけだったんだ!」って思いました。


この世は本当にシンプルな世界、と今は思います。

タイトルに『勇気』とありますが、私の解釈では「勇気=自分で決めて受け入れる」

ということで、今がどんなに苦しくて不幸だと思う状態だとしても、

これから何をするのか、どんな人生を生きるのか、過去でさえどう捉えるのか

ぜーんぶ自分で決められるということ。

ただ、どんな結果になろうともすべて自分で引き受ける覚悟を持つことでもあります。

でも、決めなければ何も起こらないし、決めれば動き出すもの。

当たり前といえば当たり前なことなのですが、これが出来ないでいる人が世の中には

私も含めたくさんいるのです。


本の中の一説、「どんな人でも今、この瞬間から幸せになれる」

なんとなく胡散臭さを感じてしまうこの言葉(笑)

それは魔法のようなことではなくて、自分が生きるすべてのことに責任を持つという、

本当はとても厳しい生き方です。

喜びも悲しみも苦しみも、どんな現実をも受け入れ、幸せになると自分で決めることです。


誰も自分を幸せにはしてくれない。

どう感じて、どう思って、どう行動するか選択できるのも自分しかいない。

影響を与えたり、与えられたりすることは出来ても、最終的に自分を幸せにできるのは

自分しかいないと思います。

そう思うと「他者と共に幸せになる」ではなく、「他者に幸せにしてもらう」という

考えでいることは、自分の幸せをその誰かに委ね、その誰かが握っているのと同じこと。

それは恐ろしいことだと思います。


また、優劣など縦の人間関係ではなく、前後の対等な関係によって、

より生きやすい環境を作ることができるとも書かれています。

例えば、あの人は私より劣っているとか、あの人より私は優れているとか、

比較・競争の世界で生きていると自分を消耗していきますが、

あの人は私より前を歩いている、あの人は私の後ろを歩いている。

そして、それは年齢に関係なくその時々によって前後が入れ代わる。

そういう認識を持っていれば、人間関係はとても円滑になります。

そういう点を含めても、子育てをする大人世代には子供との関係をどう構築するか、

とても参考になるのではないかと思います。


どんな考え方もバランスが大切で、一つの考えを鵜呑みにして影響されすぎると

極端な方向へ行ってしまいます。

私は特別拒否反応を示すような事柄でない限り、どんなことも一旦受け取り、

そこから取捨選択をするようにしています。

それが私にとっては自分の視野を広げる一つの手段になるからです。


対話形式の本は、少し読みづらい印象がありますが慣れるととてもわかりやすいです。

かなり深い内容ですので、ぜひ読んでみてください。



『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)公式ページ

■  NHK『100分de名著』人生の意味の心理学

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Tomoko Terahara / NANANOKO_pianeta Illustration